60歳。定年を迎え、家族も独立して、
やっと自分の好きなように時間を使えると思っていたのに…
なんとなく憂鬱な日が続いている。そんなふうに感じていませんか?
「誰かと出かけたいな」と思っても、気軽に声をかけられる友達がすぐに思い浮かばない。
連絡を取ろうとスマホを開いてみても、「迷惑かもしれない」「断られたら気まずい」と不安がよぎり、メッセージを送るのをためらってしまう。
会社でも、家庭でも、長年一生懸命やってきた。
仕事では責任ある立場を任され、家では子どもや家族を優先し、自分のことは後回しだったかもしれない。ふと気づくと「私、誰からも誘われていない」と感じている。
友達がいなくなったようで急に不安にかられたと感じた方へ、今日は「誘う人がいない」よりも「誘われないことのさみしさ」に、そっと目を向けてみませんか?
60歳からの新しい人間関係 ― 私の体験から

こんにちは。札幌でWebの仕事をしている白藤沙織です。60歳で会社を辞めざるを得なくなり、今はフリーランスとして働いています。
ひとりで働き始めると、当然のことですが、ひとりの時間が多くなりました。
最初の頃は、朝起きて誰とも話さない一日が続くことに不安を感じていました。
どこかに一緒に出掛ける人、ご飯を一緒に食べる人、それが友達と思っていたので、何となく人間の価値もなくなっていく感じがしました。
でも不思議なことに、徐々にひとりの時間が心地よく感じられるようになってきたんです。
誰かと一緒にいることは、自分を誰かのペースに合わせる必要があります。
誰かの好きなことを、自分の好きなことと勘違いしてしまうこともありました。
そして、自分のやりたいことに妥協していて、少しイライラもしていたことも確かです。
それが、会社のルールに縛られず自分で業務開始の時間を決めたり、毎日寄り道をしながら事務所に行ったり、好きなことだけしている日が増えたりすると、なんだか心がすっきりしてきたのです。
物理的に自分の内側に耳を傾ける時間が増えたことで、自分の好きなもの、したいことがはっきりわかるようになったのかもしれません。
そんな私の体験も交えて、お話させていただきますね。
本当は、「誘われないこと」がさみしかった

「友達がいない」と感じるのは、決して特別なことではありません。
私の友達の中にも、「定年後、同僚との付き合いがなくなって寂しい」と話してくれた方がいます。彼女は30年以上勤めた会社を辞めた後、毎朝目覚めると「今日は誰とも話さないかもしれない」という思いに襲われたそうです。
この感情の奥にあるのは、「誰かに声をかけてもらいたかった」「気にかけてもらいたかった」という、もっと静かな本音かもしれません。
人から誘われること。何気ない言葉をかけてもらえること。それは、自分の存在が誰かの中にあるという小さな安心感につながります。そしてその安心が感じられないとき、人は「自分なんていなくてもいいのかもしれない」という孤独に近づいてしまうのです。
だからこそ、「誘われたい」と思うのは自然なことであり、責める必要などありません。
自己理解のためのチェックリスト
「なんとなく寂しい」の正体がわからないとき、
この問いを使って自分にやさしく聞いてみてください。
- 誰かに誘われなかったとき、どんな言葉が心の中で浮かびますか?
- どんな場面で、特に寂しさを感じますか?
- これまでの人間関係で、最も居心地が良かったのはどんなときですか?
- 一人でいるときに、意外と楽しいと感じることは何ですか?
一つでも答えが出たなら、それはあなたの心がちゃんと反応している証拠です。
無理に変えなくても、まずは「気づいた自分」を大切にしてあげてください。
つながる前に、自分の気持ちに気づくことから始めてみる

人は人とのつながりで生きているから、誰かと一緒に時間を共有することも必要です。喜びや悲しみを共有できる人がいるのは素敵なことです。だから、人を求めることも当然のことです。
ただ、せっかくひとりの時間が多くなった60代だから、人とのつながりを求める前に、自分の気持ちを知ることが必要なのではないかと思います。
私たちは「友だちがいないとだめ」「誘うのは自分から」と教えられてきました。でも、誰かとつながりたいと感じたときに、すぐに行動に移せないことを責める必要はありません。
まずは、自分の中の声を聞いてみてください。 「本当は、誘ってほしかった」 「誰かと話したかったけど、それを言うのが怖かった」
その気持ちに気づくだけで、心は少し軽くなります。
「誘われたい」と願う気持ちは、あなたを弱くしない

人に気にかけてもらいたいという気持ちは、誰にでもあるものです。それを恥ずかしいと感じたり、我慢したりする必要はありません。
むしろ、「誘われたい」と願う気持ちを受け入れることで、これからの人間関係はもっとやさしく、無理のないものに変わっていきます。
誰かに誘われることだけを求めるのではなく、その前に、自分の気持ちをちゃんと感じてあげること。それが、これからのつながりを育てる第一歩になるのです。
一人の時間を豊かにする具体的な方法
「一人の時間」を豊かにする方法をいくつかご紹介します:
- モーニングノートを書く:朝起きた後、思いつくままにノートに書き出してみます。自分の本音に気づくこともできていいなと思っています。
- 季節の変化を楽しむ散歩:同じコースを歩いても、季節によって見えるものが違います。あるいは、違うコースを歩いて、近所でも知らなかったことを発見するのもおもしろいです。
- オンラインコミュニティに参加する:好きなことややってみたいことのグループがあったら、参加してみるのもおススメです。「あれ?違うな」と思ったら、自分から接続を切ってしまえるので、気軽に参加できると思います。
「ひとり遊びができる子は、友だちとも仲良く遊べる。」
これは子育てでよく言われる言葉ですが、大人にも当てはまると感じています。
ひとりの時間を楽しめるようになると、人との時間もより心地よいものになっていきます。
おわりに:誘われなかった日々に意味があるとしたら
「私は誘われなくてさみしかった」
そう気づけたとき、あなたの中で何かが静かに動き出すはずです。
誰かとつながる準備は、いつでも「自分を理解すること」から始まります。そして、自分の本音にやさしく向き合えたとき、きっと自然な形で、人とのつながりが戻ってくるはずです。
まずは、深呼吸を3回して、自分の中の声に耳を澄ませてください。 きっと新しい自分に出会えると思います。