昨年より30%も高くなった大根の値札を見て、思わずため息が出る。
苺もミカンも1000円近くもする贅沢品になっている。
そんな日々が続いていませんか?
特に60代で一人暮らしだと、誰にも相談できないまま、毎日コツコツやりくりしている。それでも、「これでいいのかな」と不安になること、ないでしょうか?
「もっと節約しなきゃ」と自分にプレッシャーをかけます。
けれど、ただ生活費を切り詰めるだけでは、心までカサカサしてしてしまい、何も楽しいことがないということにもなりかねません。
もちろん、生活費を見直して、節約の工夫をすることも必要です。
でも、お金だけを気にしてギスギスした生活になってしまっては、人生の終盤に突入した60代からの人生がもったいないと思うのです。
だから、自分自身の棚卸をして、「本当に使いたいところ」にお金と時間を使う。
そんな「心の予算組み」をして、生活を楽しく豊かにする方法を考えてみませんか?
こんにちは。札幌でWebの仕事をしている、白藤沙織です。
私も60歳で会社を辞めて、フリーランスとしてスタートしたばかり。
現在、一人暮らしで、収入が激減したのが大きな悩みです。
でも、ため息ばかりついていても、現実は変わっていきませんよね。
小さな「心の予算」を整えながら、これからの毎日を、自分らしく育てていきたい。
そんな気持ちで、日々を過ごしています。
60代一人暮らしの現実──「生活費」と「心」がすり減る理由
生活の収入と支出を改めて考えると、思っている以上に生活費がかかることに気づき、不安になってしまうことはありませんか?
収入が減ることがあつても、光熱費も、食費も、医療費も年々上がり続けています。
厚生労働省の調査によれば、60代一人暮らし世帯の月間支出は平均20万円という現実。
年金支給されてもちょっと赤字になるかも…
そんなギャップに、戸惑いを感じている方も多いのではないでしょうか。
だからこそ、
「もっと節約しなきゃ」
「無駄遣いは絶対ダメ」
と、自分を追い込んでしまうのも、自然な流れです。
けれど、
「お金がない」「節約しなきゃ」とばかり言っている暮らしは、知らず知らずのうちに、心の潤いまで奪ってしまいます。
- 欲しいものを我慢することが当たり前になり、
- 誰かに誘われても、お金のことばかり気になり、
- 自分を労わる時間や、心がほっとする瞬間がどんどん減っていく
「お金は減らないけれど、ちっとも楽しくない」
という状態に、気づかないうちに追い込まれてしまうのです。
本当に必要なのは、ただ支出を減らすことではありません。
「生活費と心」、両方を守る新しいバランス感覚を養うこと。
これが、これからの暮らしには欠かせないのです。
どうしたらそうなれるの?
「心を守るための生活費の見直し方」について、具体的に考えてみましよう。
今こそ見直したい、生活費の考え方
私も収入が減って、インターネットで「60代からの暮らし方」をいろいろ検索しました。
「もっと節約しなきゃ」「孤独と付き合う」「生活の工夫」と、役立つ情報が多いのですが、何だかつまらないなぁとつい思ってしまいました。
60歳の一人暮らしは、みんな大人しく、つましく暮らさなきゃいけないの?
こんな疑問もわいてきました。
無駄な支出を減らすことは大切です。けれども、苦しいとばかり言っていても、心が喜ばないのです。
で、どうしたら楽しくなるのかなと考えてみました。
そして思いついたことは、60代一人暮らしに必要なのは、「心を守るための生活設計」です。
ではどうするかというと…
まずは基本中の基本ですが、いったい自分がいくら必要なのか家計を振り返ってみましょう。
固定費と変動費にさくっと分けてみます。
●固定費とは?
家賃や光熱費、保険料など、毎月ほぼ決まった金額が出ていくもの。
●変動費とは?
食費、交際費、趣味費用など、月によって増減する支出のこと。
分野 | 固定費見直しポイント |
---|---|
通信 | スマホ・インターネット・固定電話 |
住まい | 家賃・火災保険・地震保険 |
保険・金融 | 医療保険・定期預金・クレジットカード年会費 |
サブスク | 動画・音楽・電子書籍・学習アプリ |
ライフスタイル | ジム・習いごと |
公共料金 | 電気・ガスプラン |
ひとつひとつの項目について、いくらかかっているのか書き出します。
そして、使っていないものは、すぐに解約するだけでも支出を減らせます。
次は変動費を分類します。変動費はざっくりこのような項目があります。
分野 | 具体例 |
---|---|
食関連 | 食費・嗜好品代 |
交通 | 交通費・旅行・帰省 |
人付き合い | 交際費・冠婚葬祭費 |
趣味・娯楽 | 趣味活動費・娯楽費 |
美容・健康 | 美容院・化粧品・整体 |
衣服 | 洋服・クリーニング代 |
医療・介護 | 医療費・介護用品代 |
変動費を見直すときは、こんなことに注意するとよいです。
-
【無意識の出費】はないか?
毎週カフェでくつろぐことを習慣にしているけど本当に必要?
外出に必ず買う飲み物は、水筒に入れてもっていくといいのでは? -
【心が喜んだ出費】はOKにする
友達との本当に楽しかったランチなら大切! -
【習慣化している出費】を一度棚卸しする
セールだから買う、ポイント目当てで買うのはやめてみませんか?
こうして生活費を棚卸していくと、「削るべき支出」と「大切にしたい支出」がわかってきます。
生活を切り詰めるためではなく、
心豊かに生きるために、生活費を整える。
こんな考え方で、自分の生活と向き合っていくと、
節約が苦しい作業ではなく、自分を大切にするための選択に変わってくるのではないかと思います。
60代を楽しく!「心の予算」の整え方
さて、自分の生活費を仕分けしたところで、今度は「心の予算」を考えてみます。
「心の予算」とは?
生活に必要な支出を管理するだけでなく、
自分の心を豊かに、楽しく気するための時間・お金・エネルギーを、ちゃんと確保する
そんな生活設計の考え方です。
そのために、自分はいったい何を大切にして生きているのか、今度は心の面から考えてみます。
たとえば、
- 体を大切にするための支出(健康管理・運動・リラックスグッズ)
- 心を満たす小さな楽しみ(お気に入りのカフェ、花を買う、映画を観る)
- 本当に会いたい人との時間(ランチ代、交通費)
こうした支出は、心にエネルギーを補給してくれる大切な「心の予算」です。
でも、何でもかんでも「心の予算」に組み込む余裕はありません。
そこで、自分が本当に大切にしていることを厳選するためのワークをしてみます。
時間を決めてやってみてくださいね。
【実践ポイント】心の予算を整える3ステップ
-
自分が好きだ、大切にしていると思っていることをテーマ別に書き出します。
たとえば、こんなテーマで書いてみるといいです。
✅どんな時間が楽しいですか?幸せですか?
✅大事にする習慣は何ですか?
✅どの人といるときに喜びを感じますか?
✅私をしあわせにしてくれるものは何ですか? -
リストアップしたものひとつひとつに、100点満点で点数をつけてください。
-
この中で100点満点がついたものに最優先してお金をかけると決めましょう。
ちょっときついかもしれませんが、90点以下のものは直ちに手放してもよいことです。90点~99点のものは、1か月以内にやめてもいいことで、100点がついたものだけに全力投球しましょう。
そう言われても書きづらいかもしれないので、私が書いたことを一部紹介しますね。
- どんな時間が楽しいか?
□紅茶をゆっくり飲む朝の時間 100点
□歌のレッスンを受けているとき 100点
□本屋・文房具店巡り 95点
□スイーツ・カフェ巡りを食べる 80点
□友達と大笑いをする時間 100点 - 大切にする習慣
□朝起きたら窓をあける 100点
□化粧水と乳液を丁寧に塗る 100点
□毎朝アロマで気分を上げる 95点
□背骨と股関節の調整 100点
□毎日10分読書 100点 - しあわせにしてくれるもの
□アラビア スンヌンタイの食器 100点
□天然石 98点
□漫画本 80点
□ペリカンの万年筆 100点
私の場合は、歌のレッスンには費用をかけるけれど、本屋・文房具店巡りやカフェ・スイーツ巡りにはお金をかけないと決めることです。
アラビア スンヌンタイの食器は買うけれど、天然石はあきらめるという感じです。
「これ、本当に心を喜ばせるかな?」「私が楽しいと思えるかな?」とやさしく自分に問いかけてみましょう。
「いま」大切なことは、「いま」だけしか楽しめないのです。未来にそれ楽しいかと言われれば、そうでもないかもしれません。
ですから、100点をつけた心の予算を大切にすることに集中しましょう。
人の心は変わるので、ときどきこのワークをしてみるとよいですよ。
「心の予算」を守るために、今すぐできる小さな一歩
心の予算を整えたら、次に大切なのは、それを守るための小さな行動です。
難しいことをしなくても大丈夫。
今日から、できることをひとつずつ、やっていきましょう。
【行動①】無理な人付き合いを手放す勇気
誘われたからといって、無理にすべてに応じる必要はありません。
前述の「どの人といるときに喜びを感じますか?」のリストと照らし合わせて考えてみましょう。そして、100点がついていないのなら、やさしく断る勇気を持ちましょう。
心が喜ばない付き合いにお金や時間を使わないことは、
自分を大切にする大事な一歩です。
【行動②】お金を使う前に、自分の100点リストに沿っていて「心が喜ぶか?」と問いかける
買い物をするとき、食事に行くとき、ほんの少しだけ立ち止まって、
「この4,000円のブラウス、着る場所があるだろうか?」
「このカフェでの2,000円のランチは、翌日まで余韻が残るほど特別か?」
「セールだからという理由だけで買おうとしていないか?」
と具体的に問いかけてみてください。
一瞬の確認が、無意識の出費を減らし、本当に大切なものだけにお金と時間を使えるようになります。
【行動③】小さなごほうびをあらかじめ予定に入れる
月に1回、
「自分を満たす小さなごほうび」をあらかじめスケジュールに入れておきましょう。
そのときも、やっぱり100点がついているものから選ぶのが最高です。
- お気に入りのカフェでゆっくりする
- 好きな映画を観る
- 季節の花を買って部屋に飾る
日々の小さな選択を変えるだけで、心の予算はしっかり守られていきますよ。
まとめ─60代から、自分の心と生活を守る生き方へ
無理にすべてを削らなくてもいい。
必要のないものに振り回されず、本当に大切なことにだけお金と時間を使えば、
きっと60代からでも、一人暮らしでも、心豊かに自分らしく生きる道はきっと作れます。
心豊かな60代を、一緒に育てていきましょう。