「昨日教えてもらった操作を、忘れちゃった…」
「送った請求書、数字間違えてないかな。」
仕事がなかなか覚えられずでミスしたことが頭をよぎって、眠れなくなることはありませんか?
とくにミスを連発してしまうと、
「物覚えが悪くて仕事ができないんじゃないか」
「周囲のお荷物になっていないか」
とプレッシャーを感じて、緊張してしまいます。
やっと仕事を見つけてほっとしても、新しいことがなかなか覚えられなくてミスが続くと、自信をなくしたり、やる気を失ってしまうこともありますよね。
おまけに、インターネットで対策を調べると、「シニアは足手まとい」という記事が目に留まってしまい、悩みが深くなってしまうこともあります。
「仕事ができないのは年のせい」と言い訳したくなるし、でも、心の中では「厄介ものにもされたくない」と思うこともあります。
仕事の悩みが深くなると、相反する気持ちに揺れてしまいますよね。
本当は年齢や経験に関係なく、誰にでも仕事上のミスはあるものですし、特別に悪いことでもないと思いませんか?
改めまして、こんにちは。
札幌でWebの仕事をしている白藤沙織(しらふじさおり)です。 私は60歳になったときに、会社を辞めざるを得なくなり、現在はフリーランスとして仕事をしています。
今日は、「仕事が覚えられない恐怖」と向き合う方法を、実際に私が失敗から学んだことも交えてお伝えしたいと思います。
【要チェック】覚えられないと何が怖い? 〜不安の源に気づくと、気持ちがラクになる〜
仕事がなかなか覚えられなくて、ミスすることはよくあるケースです。でも、「自分に向いていないのでは?」「もうダメかもしれない」と不安になることもありますよね。
でも、仕事が覚えられない原因は「能力のなさ」とは限りません。たとえば、経験不足、慣れない環境、体調やメンタルの不調、心の引っかかり…。
思わぬところに落とし穴があるものです。
まずは、「どうしてこんなに怖く感じるのか?」その「恐怖の正体」を、一緒に考えてみませんか?
脳の働きが変わってきた
年齢を重ねるにつれ、ちょっとしたミスでも大きな不安に感じることがあります。若い頃の自分なら気にならなかったことが、なぜか心に引っかかって離れない…。
そんな経験はありませんか?
「最近、気にしすぎかな?」と思っていたことも、実は脳の働き方の変化が関係していると言われています。あまり聞きたくないかもしれませんが、脳科学の研究でも、60歳を過ぎると情報を処理するスピードが少しゆっくりになり、慣れない環境に適応するのにも時間がかかることがわかっています。
だから、脳の処理がちょっと遅くなったので、事実確認に時間がかかってしまい、「以前よりミスが多いのでは?」と主観的に感じやすくなります。
また、今までの経験からくるプライドや、「年を取っていると、なめられてはいけない」という無意識のプレッシャーも、ミスへの恐怖を増幅させていることがあります。
若い頃は「失敗は成長の糧」と前向きに捉えられたことも、今では「信頼を失うかもしれない」という恐れに変わることもあるのです。
仕事の環境は激変している
仕事を取り巻く環境は、私たちの若い頃と大きく変わっています。
もうデータ共有にUSBメモリは使わないし、
連絡にもメールもあまり使わないし、
会議のためにわざわざ出社することも減りました。
一緒に働く若い人たちが、当たり前だと思っているデジタルの常識やツールは、60代にとっては新しい学びの連続です。
特にリモートでの会議や、判断がしづらいクラウドのファイル共有システムなど、60代の私たちにとっては小さな挑戦の積み重ね。ひとつひとつの操作に「これで合っているだろうか」という迷いがでてきて、それがミスへにつながり、次の仕事への不安につながっています。
本当に「取り返しがつかない」ことはありますか?
私たちが社会人になった30年くらい前は、「仕事のミスはあってはいけないもの」と教えられ、厳しく責められることもありました。
だから「ミス=取り返しのつかない事態」という方程式が、無意識のうちに頭に刻み込まれています。
しかし、冷静に考えてみましょう。
実際には、取り返しのつかないミスというのは、人生全体から見ればごくわずかです。
たいていの場合は、お詫びをし、修正し、対策を考え実行することで、信頼を回復することができます。
「覚えられない」「忘れてしまう」という決めつけ
一般的に年をとると、記憶力が落ちると言われます。物覚えが悪くなると言われています。
確かに、60歳をすぎると、子どものようにすぐに新しい道具を使いこなせるとは限りません。
でも、実は記憶力に影響するのは、「年齢」だけではないのです。
緊張、ストレス、睡眠不足の方が大きな要因であることが多く、これは若い人たちと共通しています。
「忘れたら、また覚えればいいや」と気楽に考え、ゆったりしている方が覚えやすくなるものです。
さて、「恐怖の正体」が少し見えてきたところで、次は「令和時代」の仕事に合わせた、60代向けのミス対策についてご紹介します。
【令和版】新しい働き方 : 60歳のためのミス対策5選
ここでは、60代の私たちは「忘れやすい」ことを前提にして、無理なく仕事を進めていくために考えてみました。
若い頃のように完璧を目指すのではなく、「忘れても大丈夫な仕組み」を作っておくことで、安心して働き続けられる環境が整います。
ここでは、私が実践している6つの具体的な対策をご紹介します。
- B5サイズのノートを持ち歩く
- よくある仕事は「マイルール」を作る
- わからないことは人にすぐに聞く
- 教えてもらったことはその場で復習する
- 朝にTo Doリストを作り、夜にできことを確認する
- 大事な書類は一か所に保管する
B5サイズのノートを持ち歩く
60代の私たちは、覚えたことをすぐに忘れてしまうこともあります。だからこそ、「頭で覚える」よりも「ノートに頼る」ことを前提にした働き方が有効です。
おすすめは、B5サイズのノート。メモとしては大きいのですが、小さな文字は見づらくなった私たちには最適なサイズと思っています。
ノートの表紙には「仕事の記録」「○月○日〜」などのタイトルを書いておくと、ほかのノートに交じっても、見つけやすいです。
メモを取るときは、次のことを意識してみてください:
- 大きめの文字で、あとから読みやすく
- 1ページに1テーマが基本(混在させない)
- 赤ペンやマーカーで「要確認」や「期限付き」の事項を目立たせる
こうしておけば、「何を書いたっけ?」と探し回る時間も減り、精神的な安心感にもつながります。
よくある仕事はマイルールを作る
毎月決まった作業やルーチン業務は、「どうすればミスを減らせるか?」を考えて、「マイルール」を作っておくのが効果的です。
たとえば請求書の発行業務。
【マイルール例】
✅請求先の宛名と会社名が一致しているかを必ずチェック
✅金額が見積書と一致しているか照合
✅書類の日付と発行日を確認
✅添付ファイルの有無をメール送信前に確認
これらをチェックリストとして紙に印刷し、作業時に確認するだけで、ミスの防止につながります。
チェック表はA4用紙に印刷して、仕事ノートの最後のページに貼ると、すぐ確認できて便利です。
わからないことはすぐに聞く
60代になると、「今さら聞けない」と感じてしまいがちです。 でも、本当にわからないままにしておくことの方が、あとで大きなミスにつながる可能性があります。
自分で調べて解決できれば理想ですが、「調べ方がわからない」「どこまで調べていいか判断できない」といった迷いもありますよね。
そんなときは、思い切って誰かに聞いてしまうのが一番です。
ポイントは、質問した内容をB5ノートにしっかりメモしておくこと。 さらに、次からは自分でできるように「教えてもらったことをすぐ実践してみる」ことが大切です。
「また同じことを聞いてしまった…」と自分を責めないためにも、ノートは味方になります。
ラッキーなことに、今は「生成AI」があります。
生成AIは質問に何でも答えてくれるし、何度聴いても文句は言いません。質問に何度でも丁寧に答えてくれて、誰にも気をつかわずに使えるのが魅力です。「また聞いていいのかな?」という悩みをAIが解決してくれます。
具体的な操作方法や活用のコツは、別の記事で詳しくご紹介しますね。
教えてもらったことはその場で復習する
仕事でよくあるミスのひとつが、「説明されたときは理解したつもりだったのに、いざ自分でやってみたらできなかった」というパターンです。
これは決して珍しいことではありません。実は「わかったつもり」になっていて、理解が定着していないケースが多いのです。
そこでおススメしたいのが、教えてもらったその場で復習すること。
たとえば、説明を聞いた直後に自分の言葉で復唱してみる、パソコン操作なら自分で実際にやってみて確認してもらうなど。
このひと手間が、あとで「できなかった…」という後悔を防ぎ、自信にもつながります。
朝にTo Doリストを作り、夜に確認する
いくら忘れやすいお年頃とはいえ、「また忘れていたね」と思われるのはやっぱり悔しいものです。 そんなときは、朝にその日のタスクをノートに書き出し、夜に振り返って確認する習慣をつけてみましょう。
このときも、仕事メモとは別にB5サイズの専用ノートを用意するのがコツです。ノートの表紙には「ToDoリスト」とタイトルを書いておくと、目的が明確になり、開くたびに気持ちのスイッチが入ります。
朝:ToDoリストを書く
夜:できたことにチェックを入れる
この習慣を続けることで、「何をやったか」「何を忘れていたか」が目に見えて、自分への安心感も生まれてきます。
朝はバタバタしがちですし、夜は眠くて忘れてしまいがちなので、ノートは必ず目に入る場所に置いておくと続けやすくなります。
大事な書類は一か所に保管する
さて、ノートも用意してメモする習慣もついた。ToDoリストも活用している。
ばっちり!と思った矢先に、 「そのノート、どこ置いたっけ?」「大事な書類、どこにしまった?」 なんてこと、ありませんか?
実はこれ、どの年代にもあてはまる「あるある」なんです。
仕事をしようとしたときに、必要な資料が見つからない。 書類を探すのに30分もかかってしまった。
これではせっかくの努力が台無しになってしまいますね。
だから、書類やノートの「定位置」を決めておくことがとても大切です。
- 資料やノートの置き場所を一か所に決める
- データファイルも、保管するフォルダを決める
- 仕事が終わったら、必ず確認して元の場所に戻す
とにかく仕事の終わりは、「使ったものを定位置に戻す」。徹底しましょう。
おわりに|「ミスが怖い夜」も、いつか笑って話せるように
仕事でミスすることは、何歳になっても落ち込みます。 でも、それは「ちゃんとやりたい」「信頼されたい」という気持ちがあるからこそ。
若い頃なら勢いで乗り越えられたことも、60代の今は、少し立ち止まってしまうこともあります。 でもそれは、「丁寧に考える力」や「相手を思いやる視点」が育ってきた証ではないでしょうか。
忘れてしまってもいいようにノートを使う。 聞き逃してもいいように復習する。 迷っても、ひとつずつ確認する。
そんな「ミスを減らす仕組み」を、日々の中に取り入れていけば、 「あの頃は、ミスが怖くて眠れなかったな」と笑って話せる日がきっときます。
どうか、今の自分を責めないでください。 ゆっくりでいい。丁寧に、ひとつずつ、積み重ねていきましょうね。
実は、私もつい最近、ダブルブッキングをしてしまいました。
お詫びして予定を調整しながら、「ああ、またやっちゃったな」と思いつつ、それでも前に進んでいます。
この文章が、あなたの眠れない夜に、ほんの少しでも寄り添えていたら嬉しいです。